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開催内容

三田村 秀雄

AEDとは?
AEDとは自動体外式除細動器のことです。と言ってもピンと来ない人が多いと思います。これは心室細動という不整脈のせいで止まってしまった心臓に対して、胸の表面から電気ショックを加える器械です。数分以内にそれを使えば突然死を救うことができます。ただ数分以内に使わないとダメなので、医者や救急隊員がこの器械を持って来るのを待っているだけでは間に合いません。速やかにAEDを活用するには2つの工夫が必要です。第一に、AEDをすぐに使えるように、予め町中に配備しておくことです。日本では2004年7月以来、AEDが次々と空港や駅、集会場、学校、スポーツ施設などに設置されるようになり、2008年末にはその台数が累計で15万台にも達しました(図1)。ただ、たくさん配備された、というだけでは、それが速やかに使用されるとは限りません。残念ながら現場に医者や救急隊員はいません。AEDを使わなければならないのはたまたまそこに居合わせた一般市民です。第2の工夫とは、そのような素人が使えるようにするためのもので、実はAEDは話してくれるのです。使い方はもちろん、電気ショックが必要かどうかも音声で教えてくれます。しかも正常な人に間違って使ってもショックがかからないようになっています。そのような工夫のおかげで勇気ある市民がAEDで倒れている人に電気ショックをかけた件数も年々倍増して、2008年の1年間に807例に使用されました(図2)。市民が使ったAEDは確実に効果をあげており、2008年には心臓に原因があって目の前で心停止した例に対して、ただ救急車を呼ぶだけで市民が何もしなかったときには1ヶ月後の生存率8.2%と低かったのに対し、AEDを使用した429例では何と43.8%が救命されたのです(図3)。このように生死の分かれ目という最も重要な場面で活躍できるのは、そして活躍すべきなのは、現場にいる市民にほかなりません。その市民であるあなたが主役となって、まわりの協力を得ながら素早く119番通報を行い、直ちに胸骨圧迫を行い、AEDが届いたら素早くボタンを押す「CALL and PUSH」を実行することによってさらに多くの命を救うことができるのです。

石倉 宏恭

1995年1月17日午前5時46分、淡路島北淡町野島断層を震源とするマグニチュード7.3の大地震が神戸市,西宮市,芦屋市,淡路町を中心に起こりました。これが阪神淡路大震災です。当時の私たちの認識では近畿地方でこれほど大きな地震が起こることは想定しておらず。ましてや大規模災害に対する対策などはほとんど整備されていない状況でした。

 この地震による死者は6,433名、全半壊家屋274,181棟で電気・ガス・水道等のライフラインも壊滅状態となりました。このため、約35万人のも人々が避難所生活を余儀なくされたのです。発災当初は学校の体育館や街の公民館が避難場所として使用されましたが、勿論プライバシーの確保など望めるはずは無く、食料や飲料水は全て配給物で、震災が起こった時期が真冬の最も寒い時期という事も相まって、精神的肉体的ストレスは計り知れないものであったと推察されます。また、震災時には常用薬の休薬を余儀なくされる事も多く、基礎疾患が増悪する方や、いわゆる災害弱者と言われるCWAP(C:Children,小児、W:Women,女性、A:Aged people,高齢者、P:Patients,疾病者)の方々を中心に体調を崩される方が多く発生しました。
 当時私が所属していた病院では震災翌日から被災地の高校で常設の診療所を立ち上げ、避難所への巡回診療も開始しました。 地震発生当初2-3日は外傷の患者さんも多く、傷の手当てが主な業務でしたが、その後は体調不良を訴える方が増え、疾病内容が内科系疾患へと変化していきました。内科系疾患のうち、呼吸器系では肺炎の発生が多くみられ、また消化器系では消化性潰瘍の発生が例年と比べてかなり多く発生しました。

安部 治彦

 一度致死性不整脈による心肺蘇生を受けAEDで救命された方は、その後同じ発作の再発率は非常に高いことが知られている。従って、AEDによって救命された患者さんにとって最も大切なことは、いかに再発を防ぐことができるかである。心臓植込み型除細動器(ICD)は、体内に植込んだAEDであり、心臓突然死予防にとって最も確実かつ優れた治療法であることは科学的にも証明されている。本治療法はペースメーカ治療とほぼ同じであり社会生活上でもほとんど制約もなく、海外では既に広く使用され心臓突然死予防とその発生頻度の減少に大きく貢献している。本邦では、欧米諸国に比べて、ICDの植込み症例数は徐々に増加しているもののまだ少なく、その使用頻度は欧米先進諸国の半分以下である。国内では、今後更なる本治療の啓蒙が必要である。
 欧米では、心臓突然死の約8割は自宅で発生するとされ、職場での発生率は1%以下と非常に少ないとされてきた。しかしながら本邦における調査では、自宅での発生が最も多いことは同じであるが、職場での致死性不整脈の発生率は11%と決して少なくなくことも判明している。このことは、AED設置に関しても今後考慮すべきことである。ICD治療を受けることによりその後の就労が安易に制限されたり排除されることがあってはならない。国内においては、ICD治療に対する国民の理解と社会の受け入れとサポートをもっと広める必要がある。医療関係者のみならず広く国民と社会への更なる本治療法の啓蒙が必要である。